【税金入門 vol.27】免税事業者と課税事業者 — 1,000万円の判定基準
売上1,000万円が分かれ目
【税金入門 vol.26】消費税の仕組み — 誰が納めてるのか。多段階課税の流れ。軽減税率で消費税の基本を解説しました。ここからは「自分は消費税を納める必要があるのか」という判定の話です。
結論から言うと、前々年(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかで決まります。
- 1,000万円以下 → 免税事業者(消費税の納付義務なし)
- 1,000万円超 → 課税事業者(消費税の申告・納付が必要)
ここでいう「売上」は経費を引く前の金額。所得ではなく売上で判定されます。
基準期間 — 「2年前」の売上で見る
消費税の判定は「今年の売上」ではなく、2年前(個人事業主の場合は前々年)の売上で行います。
なぜ2年前なのか? 今年の売上は年末にならないと確定しないので、事前に納税義務を判定するために2年前の数字を使います。事業者が年の途中で「課税か免税か」を把握できるようにするための仕組みです。
具体例
| 年 | 売上 | 翌々年の消費税 |
|---|---|---|
| 2023年 | 800万円 | 2025年: 免税 |
| 2024年 | 1,200万円 | 2026年: 課税 |
| 2025年 | 900万円 | 2027年: 免税 |
2024年に売上が1,200万円に達しても、消費税の納付義務が発生するのは2026年から。2年間のタイムラグがあります。
特定期間 — 前年の上半期も見られる
基準期間(2年前)の売上が1,000万円以下でも、特定期間の売上が1,000万円を超えると課税事業者になります。
個人事業主の特定期間は前年の1月1日〜6月30日の6か月間です。この期間の課税売上高が1,000万円を超えると、翌年は課税事業者になります。
ただし、課税売上高の代わりに給与等の支払額で判定することもできます。売上は1,000万円を超えたけど給与の支払いが1,000万円以下なら、免税事業者のままでいられるケースもあります。
新規開業の場合
開業1年目と2年目は「基準期間」が存在しません。前々年に事業をやっていないわけですから。
この場合、原則として開業1年目・2年目は免税事業者になります。
ただし以下のケースは例外です。
- 資本金1,000万円以上の法人 → 設立初年度から課税事業者
- 特定期間の売上が1,000万円超 → 2年目から課税事業者
- インボイス登録をした場合 → 登録日から課税事業者
課税事業者になったらやるべきこと
1. 消費税の申告・納付
確定申告とは別に、消費税の確定申告が必要です。申告期限は翌年3月31日(個人事業主の場合)。所得税の3月15日より半月ほど遅い期限です。
2. 簡易課税制度の検討
売上5,000万円以下の事業者は簡易課税制度を選べます。実際の仕入税額を計算する代わりに、売上にみなし仕入率をかけて消費税額を算出する簡便法です。
| 事業区分 | みなし仕入率 |
|---|---|
| 第1種(卸売) | 90% |
| 第2種(小売) | 80% |
| 第3種(製造・建設) | 70% |
| 第4種(飲食) | 60% |
| 第5種(サービス) | 50% |
| 第6種(不動産) | 40% |
ITフリーランスは第5種(サービス業)で、みなし仕入率は50%。仕入れが少ない業種では簡易課税のほうが有利になるケースが多いです。自分の売上で消費税がいくらになるか気になる方は、シミュレーターで試算してみてください。
3. 会計処理の変更
免税事業者のときは消費税を気にせず経理していた人も、課税事業者になると消費税の区分経理(課税/非課税/免税)が必要になります。会計ソフトを使っていれば自動で区分してくれます。
よくある間違い
「売上1,000万円を超えたらすぐ課税」
すぐではありません。2年前の売上で判定するので、課税事業者になるのは翌々年からです(特定期間の判定を除く)。
「1,000万円は所得(利益)で判定する」
所得ではなく課税売上高で判定します。経費がいくらかかっていても、売上が1,000万円を超えれば課税事業者です。
「免税事業者は消費税を請求してはいけない」
免税事業者でも消費税を請求すること自体は違法ではありません。ただしインボイス制度の導入により、免税事業者が発行した請求書では取引先が仕入税額控除を受けられなくなっています。これについては次の記事で詳しく解説します。
この記事のまとめ
- 消費税の納税義務は前々年の課税売上高1,000万円で判定
- 判定は**売上(収入)**であり、所得(利益)ではない
- 特定期間(前年上半期)の売上でも判定される
- 新規開業の1〜2年目は原則免税
- 課税事業者になったら簡易課税制度の検討を
- ITフリーランスのみなし仕入率は50%(第5種)
次の記事では、インボイス制度を解説します。登録すべきかどうかの判断基準まで。
※ 本記事は2025年分の税制に基づく概要説明です。消費税の課税判定は個別の状況により異なります。正確な判断は税理士にご相談ください。
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