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【税金入門 vol.29】個人事業税とは — 法定業種・税率・290万控除

# 税金入門# 個人事業税

所得税・住民税に加えてもう1つの税金

フリーランスが払う税金は所得税と住民税だけではありません。もう1つ、個人事業税があります。

個人事業税は地方税で、都道府県に納めます。所得税(国税)・住民税(市区町村税)と合わせると、フリーランスは3種類の税金を払っていることになります。

ただし、全てのフリーランスに課されるわけではありません。法定70業種に該当する事業を営んでいて、かつ所得が一定額を超える場合に課税されます。

個人事業税の計算方法

計算式はシンプルです。

個人事業税 =(事業所得 − 290万円)× 税率

290万円の事業主控除

個人事業税には290万円の控除があります。事業所得が290万円以下なら個人事業税はゼロ。確定申告で事業所得を計算した結果、290万円を超えた分に対してのみ課税されます。

税率

法定70業種は3つの区分に分かれ、税率が異なります。

区分税率主な業種
第1種5%物品販売業、不動産貸付業、飲食店業、広告業、コンサルタント業、デザイン業など
第2種4%畜産業、水産業、薪炭製造業
第3種5%医業、弁護士、税理士、理容業、美容業など
第3種(一部)3%あんま・マッサージ、はり・きゅう、柔道整復など

ほとんどのフリーランスは第1種または第3種で**税率5%**です。

具体例

事業所得600万円のフリーランス(第1種・税率5%)の場合:

事業所得600万円(第1種・税率5%)の場合
事業所得
600万
事業主控除
290万
×
税率
5%
個人事業税
15.5万円
290万円以下なら課税なし

所得税や住民税に比べると金額は小さいですが、「知らなかった」で突然通知が届くとびっくりします。個人事業税を含めた税負担の全体像は、ZeiSimのシミュレーターで確認できます。

法定70業種 — 該当するかどうかが問題

個人事業税は法定70業種に該当する事業にのみ課税されます。逆に言えば、70業種に該当しなければ課税されません。

該当する代表的な業種

区分業種例
第1種物品販売業、広告業、コンサルタント業、デザイン業、写真業、印刷業、運送業
第3種医業、歯科医業、弁護士業、税理士業、理容業、美容業

該当しない代表的な業種

  • 文筆業(ライター、作家)
  • 画家、音楽家
  • プログラマー(※条件あり)
  • 農業(農業は個人事業税の対象外)

ITエンジニアのグレーゾーン問題

ここがフリーランスのITエンジニアにとって最も気になるポイントでしょう。

「プログラマー」は対象外、「システムエンジニア」は微妙

法定70業種に「プログラマー」は含まれていません。純粋にプログラミングだけを行う場合、個人事業税の対象外とされることがあります。

一方で「コンサルタント業」「デザイン業」「請負業」は第1種に該当します。システム設計、コンサルティング、プロジェクトマネジメントなどの要素が含まれると、「コンサルタント業」や「請負業」として課税される可能性があります。

判断基準

都道府県によって判断が異なるのが実情です。同じ「Webエンジニア」でも、東京都では課税されないけど別の県では課税される、というケースも。

一般的な傾向としては:

  • プログラミングのみ → 対象外になりやすい
  • システム設計・コンサルティング含む → 対象になりやすい
  • Web制作(デザイン+コーディング) → デザイン業として対象になりやすい
  • ブログ・アフィリエイト → 広告業として対象になる場合がある

課税通知が届いたら

個人事業税は、確定申告の内容をもとに都道府県が計算して通知してきます。自分で申告する必要はありません。通知が届くのは8月ごろで、8月と11月の2回に分けて納付します。

「自分はプログラマーなのに課税通知が届いた」という場合は、都道府県の税事務所に問い合わせてみてください。事業内容を説明することで非課税と判定されるケースもあります。

個人事業税と経費の関係

個人事業税は経費(租税公課)として計上できます。所得税や住民税は経費にできませんが、個人事業税は例外。これは【税金入門 vol.21】経費の基本 — 家事按分と税務調査のポイントでも触れました。

つまり、個人事業税を払うとその分だけ翌年の所得が下がり、所得税・住民税も少し安くなります。完全にマイナスというわけではありません。

なお、マイクロ法人を設立すれば個人事業税は課されなくなります。法人化の判断材料の1つとして覚えておいてください。自分の税負担がトータルでいくらになるか、シミュレーターで確認してみてください。

自分の税負担、いくらか知っていますか?
所得の種類でこれだけ税額が変わるなら、自分の数字で確かめておいて損はありません。

よくある間違い

「個人事業税は全てのフリーランスにかかる」

法定70業種に該当し、かつ事業所得が290万円を超える場合のみです。290万円以下なら課税されません。

「ITエンジニアは絶対に課税されない」

「プログラマー」は対象外とされることが多いですが、業務内容にコンサルティングやデザインが含まれると課税対象になる場合があります。都道府県によっても判断が異なります。

「個人事業税も確定申告で申告する」

個人事業税は自分で申告する必要はありません。確定申告の内容をもとに都道府県が計算し、8月ごろに通知書が届きます。

この記事のまとめ

  • 個人事業税は法定70業種に該当するフリーランスにかかる地方税
  • 事業所得から290万円を控除した残額に対して税率3〜5%
  • ほとんどのフリーランスは税率5%
  • プログラマーは対象外とされやすいが、コンサル・デザインが含まれると課税される可能性あり
  • 個人事業税は経費(租税公課)にできる
  • 自分で申告不要。8月ごろに都道府県から通知が届く

これで全8章・29記事の「税金の基本シリーズ」は完了です。フリーランス・会社員の両方が読める「税金の教科書」として、この記事が役に立てば幸いです。


※ 本記事は2025年分の税制に基づく概要説明です。個人事業税の課税判定は都道府県により異なります。正確な判断は税理士にご相談ください。

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