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【税金入門 vol.15】住民税の計算方法 — 所得割10%+均等割。所得税との控除額の違い

# 税金入門# 住民税

住民税は「所得税のコピー」ではない

住民税の存在は知っていても、計算方法まで把握している人は意外と少ないです。「所得税と同じようなもの」「10%くらい取られる」——だいたいそんなイメージで止まっていませんか?

たしかに住民税は所得税と似た構造をしています。でも、控除額が違う、税率の仕組みが違う、課税のタイミングが違う。この3つの違いを知らないと、手取りの計算を間違えます。

住民税の2つの構成要素

住民税は所得割均等割の合計です。

住民税 = 所得割 + 均等割
所得割
一律 10%
市区町村 6% + 都道府県 4%
課税所得 × 10%
均等割
年 5,000円
市区町村 3,000 + 都道府県 1,000 + 森林環境税 1,000
全員一律の定額
住民税 = 所得割 + 均等割

所得割 — 一律10%

所得税は【税金入門 vol.6】累進課税の仕組み — 「税率20%=全額に20%」の誤解を解くで解説した累進課税(5%〜45%)ですが、住民税の所得割は一律10%。課税所得が100万円でも1,000万円でも、税率は変わりません。

内訳はこうなっています。

区分税率
市区町村民税6%
都道府県民税4%
合計10%

所得税と同じ流れで計算できます。

1
所得控除を引く← 所得税より控除額が小さい
所得
所得控除
=
課税所得
2
一律10%をかける
課税所得
×
10%
=
所得割額
3
税額控除を引く
所得割額
税額控除
=
最終所得割

均等割 — 年5,000円

所得に関係なく、住民税が課税される人全員に一律でかかる定額部分。

区分金額
市区町村民税3,000円
都道府県民税1,000円
森林環境税1,000円
合計5,000円

森林環境税は2024年度から新設されたもので、均等割と一緒に徴収されます。以前は復興特別税として1,000円が上乗せされていましたが、それが終了して入れ替わる形で始まったものです。

所得税と住民税の控除額の違い — ここが落とし穴

「所得税で計算した控除がそのまま住民税にも使える」と思っていませんか? これが違うんです。住民税の控除額は所得税より小さいものが多いです。

主な控除額の比較

控除の種類住民税所得税差額
基礎控除43万円58万円〜 ※15万円〜
配偶者控除33万円38万円5万円
一般扶養控除33万円38万円5万円
特定扶養控除(19〜22歳)45万円63万円18万円
老人扶養控除(70歳以上・同居)45万円58万円13万円
生命保険料控除(上限)7万円12万円5万円

※ 所得税の基礎控除は2025年改正で48万円→58万円に引き上げ。さらに2025年・2026年分は暫定措置として合計所得に応じて最大95万円まで上乗せされます。住民税の43万円は据え置きのため、差はさらに広がっています。

基礎控除だけでも15万円以上の差。「所得税の課税所得×10%」で住民税を見積もると、実際より安く出てしまいます。

具体的にどれくらい違うか

年収500万円の独身会社員で比べてみましょう。所得税の基礎控除68万円は2025年・2026年分の暫定措置(給与所得336万超〜489万以下の区分)です。

年収500万円・独身会社員の場合
給与収入500万
給与所得控除−144万
給与所得356万
所得税
給与所得356万
基礎控除−68万
社保控除−72万
課税所得216万
住民税
給与所得356万
基礎控除−43万
社保控除−72万
課税所得241万
基礎控除の差(68万 vs 43万)で課税所得が25万円変わり、住民税が 年25,000円 多くなる

基礎控除だけでこれなので、配偶者控除や扶養控除も使っている人はもっと開きます。

なぜ控除額が違うのか

所得税は国税、住民税は地方税。地方自治体の財源確保のために、住民税の控除額はあえて低く設定されています。控除額が小さい=課税所得が大きい=税収が増える、という仕組みです。

正直、納税者からすると「なんで同じにしてくれないの?」と思いますよね。ただ、これは地方財政の構造的な問題なので、知っておくしかありません。

自分の年収で住民税がいくらになるか気になった方は、シミュレーターで確認してみてください。

自分の税負担、いくらか知っていますか?
所得の種類でこれだけ税額が変わるなら、自分の数字で確かめておいて損はありません。

住民税が非課税になる条件

住民税には非課税ラインがあります。所得がこのラインを下回ると、住民税はゼロです。

均等割も所得割も非課税になる条件

条件合計所得金額
単身(扶養なし)45万円以下
扶養親族あり35万円 ×(本人+扶養人数)+ 31万円 以下

単身で合計所得45万円以下ということは、給与収入のみなら年収110万円以下です(給与所得控除65万円 + 合計所得45万円 = 110万円)。

パートで「年収110万円を超えると住民税がかかる」と言われるのはこのライン。所得税の非課税ライン(年収123万円)とは別物なので、混同しないでください。

※ 2024年以前は給与所得控除の最低額が55万円だったため、住民税の非課税ラインは年収100万円、所得税は103万円でした。2025年改正で両方とも引き上げられています。

所得割のみ非課税になる条件

均等割は課税されるが所得割は非課税、という中間パターンもあります。

条件総所得金額等
単身(扶養なし)45万円以下
扶養親族あり35万円 ×(本人+扶養人数)+ 42万円 以下

非課税判定の基準額は自治体によって若干異なる場合がありますが、上記が標準的な金額です。

住民税の計算を実際にやってみる

年収600万円、独身、会社員のケースで全体を通して計算してみましょう。

1
給与収入 600万 − 控除 164万 = 給与所得 436万
2
436万 − 基礎控除 43万 − 社保 86万 = 課税所得 307万住民税用の控除額
3
307万 × 10% = 所得割 30.7万
4
所得割 30.7万 + 均等割 0.5万 = 住民税 約31万年額
月額 約25,800円 — 所得税(約18.8万円)の 約1.6倍

ステップ1: 給与所得を計算

給与収入600万 − 給与所得控除164万 = 給与所得436万

ステップ2: 課税所得を計算(住民税用の控除額で)

436万 − 基礎控除43万 − 社保控除86万 = 課税所得307万

※ 社保控除86万は概算(協会けんぽ・東京都の場合の目安)

ステップ3: 所得割を計算

307万 × 10% = 30.7万円

ステップ4: 調整控除を引く

住民税には調整控除があります。2007年の税源移譲で所得税率が変わった際、負担増を調整するために設けられたものです。

課税所得200万円超の場合:

調整控除 = {5万円 −(課税所得 − 200万円)} × 5%
= {5万円 − 107万円} × 5%
= マイナスなので2,500円(下限)
所得割 = 30.7万円 − 2,500円 = 30.45万円

ステップ5: 均等割を加算

住民税 = 30.45万円 + 5,000円 = 約30.95万円(年額)
月額にすると約25,800円

ちなみに、同じ条件の所得税は約18.8万円(復興税込み、基礎控除68万円で計算)。住民税のほうが所得税の約1.6倍です。年収600万円くらいだと、地味に住民税の負担感のほうが大きいんですよね。

自分の年収だといくらになるか気になった方は、シミュレーターで確認してみてください。

自分の税負担、いくらか知っていますか?
所得の種類でこれだけ税額が変わるなら、自分の数字で確かめておいて損はありません。

所得税との違いまとめ

所得税住民税
税率累進(5〜45%)一律10%
基礎控除58万円〜(暫定で最大95万円)43万円
配偶者控除38万円33万円
扶養控除38万円33万円
課税のタイミング当年(源泉徴収)翌年(後払い)
非課税ライン年収123万円年収110万円

課税のタイミングが「翌年」になる点は、次の記事で詳しく解説します。退職・独立したときに「去年の住民税が翌年にドカンと来る」問題はここに起因しています。

住民税を減らす方法として最も手軽なのがふるさと納税です。住民税の控除枠を使って自治体に寄附し、返礼品を受け取れます。詳しくは【税金入門 vol.11】ふるさと納税の仕組み — 実質2,000円の理由と上限額の計算で解説していますが、まだ始めていない方はまず上限額のチェックから。

この記事のまとめ

  • 住民税は**所得割(一律10%)均等割(年5,000円)**の2本立て
  • 所得税と比べて控除額が小さい — 基礎控除だけで15万円以上の差(2025年分)
  • 非課税ラインは給与収入110万円以下(所得税の123万円とは別)
  • 課税のタイミングは翌年 — 退職・独立時に要注意
  • 年収600万円の会社員で住民税は約31万円。所得税の約1.6倍

次の記事では、住民税が翌年に来る仕組みを解説します。退職・独立時のキャッシュフロー問題と、その対策について。


※ 本記事は2025年分の税制に基づく概要説明です。住民税の税率・控除額・非課税基準は自治体により異なる場合があります。正確な金額は各市区町村にご確認ください。

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