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【税金入門 vol.21】経費の基本 — 家事按分と税務調査のポイント

# 税金入門# 確定申告

経費の判断基準はシンプル

フリーランスにとって「何が経費になるか」は永遠のテーマです。結論から言うと、判断基準は1つだけ。事業に直接必要な支出かどうか

税法上の表現では「その年分の不動産所得、事業所得又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、(中略)総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額」となっていますが、要は売上を得るために使ったお金ですね。

ただ、この「直接必要」の範囲が曖昧なので、みんな悩みます。この記事では「何が経費になるか」「家事按分はどうやるか」「税務調査で突っ込まれやすいところ」を順に整理していきます。

経費にできるもの

代表的な項目を表にまとめました。確定申告のときに「これ経費にしていいんだっけ?」と迷ったら、まずここを確認してみてください。

勘定科目具体例
通信費インターネット回線、携帯料金、サーバー代
旅費交通費電車・バス代、タクシー代、出張の宿泊費
消耗品費文房具、USBメモリ、10万円未満のPC周辺機器
新聞図書費業務関連の書籍、技術書、有料ニュースサイト
接待交際費クライアントとの食事代、お中元・お歳暮
地代家賃事務所の家賃(自宅兼用の場合は按分)
水道光熱費電気代(自宅兼用の場合は按分)
減価償却費10万円以上のPC、カメラ、車両など
外注費デザイナーやエンジニアへの業務委託費
広告宣伝費Web広告、名刺、チラシ
支払手数料振込手数料、クラウドソーシングの手数料
租税公課個人事業税、印紙税、自動車税(事業用)

経費にできないもの

逆に、以下は経費にできません。間違って計上すると税務調査で否認されるので注意してください。

  • 所得税・住民税 — 税金は経費にならない(個人事業税は経費OK)
  • 国民健康保険料・国民年金 — 経費ではなく「社会保険料控除」で処理
  • 生活費 — 食費、日用品、趣味の支出
  • 罰金・反則金 — 交通違反の反則金、駐車違反の罰金
  • 家族への給与(届出なしの場合) — 青色事業専従者給与の届出が必要
  • 自分への給与 — フリーランスには「給与」という概念がない

「所得税と住民税は経費にならないけど、個人事業税は経費にできる」。ここ、意外と知らない人が多いので覚えておいてください。

経費OK
通信費・サーバー代
交通費・出張費
家賃(按分)・光熱費
経費NG
所得税・住民税
生活費・趣味の支出
罰金・反則金
判断基準: 事業に直接必要な支出かどうか

家事按分 — 自宅兼事務所の経費計算

自宅で仕事をしているフリーランスは多いですよね。この場合、家賃や光熱費を全額経費にはできません。プライベートと事業の割合で按分する必要があります。

按分の考え方

按分比率は「合理的な基準」で決めます。

経費按分基準の例
家賃仕事部屋の面積 ÷ 全体面積(例: 6畳 ÷ 25畳 = 24%)
電気代使用時間で按分(例: 1日8時間仕事 ÷ 24時間 = 33%)
インターネット仕事での利用割合(例: 50〜80%)
携帯電話仕事での利用割合(例: 50〜70%)
車両費走行距離の事業利用割合

具体例

家賃10万円、仕事部屋が全体の30%の場合:

家賃10万円、仕事部屋が全体の30%の場合
家賃
10万円
×
事業割合
30%
=
経費
3万円/月
経費に計上
年36万円
プライベート分
年84万円

ポイントは「なぜその比率にしたか」を説明できるかどうか。税務調査で聞かれたときに「なんとなく50%」では通りません。面積比、時間比、利用割合など、客観的な基準で按分してください。経費をどれくらい計上すると税負担がどう変わるか、シミュレーターで試してみると感覚がつかめます。

按分比率に正解はない

「家賃は何%まで経費にできますか?」はよくある質問ですが、一律の上限はありません。実態に合っていれば10%でも80%でもOK。

ただし、比率が高すぎると税務調査で目をつけられやすくなります。自宅兼事務所で家賃の80%を経費にしていたら、「本当に面積の80%を仕事に使っていますか?」と聞かれる覚悟は必要です。

レシート・領収書の保存ルール

経費を計上するなら、証拠書類の保存は避けて通れません。保存期間を間違えると、あとから経費として認められなくなるリスクがあります。

保存期間

書類保存期間
帳簿(仕訳帳、総勘定元帳等)7年
領収書・レシート7年(白色申告で前々年の所得300万以下は5年)
請求書・納品書5年

レシートと領収書、どっちが必要?

どちらでもOKです。税法上はレシートでも領収書でも証拠書類として有効。むしろレシートのほうが品名・金額・日付が印字されているので、手書きの領収書より信頼性が高いケースもあります。

「レシートじゃダメ、領収書をもらわないと」は誤解です。

電子保存への対応

2024年1月から、電子取引のデータ保存が義務化されました。メールで届いた請求書やオンライン決済の明細は、紙に印刷するだけではなく電子データのまま保存する必要があります。

クラウド会計ソフトを使っていれば、保存要件も自動で対応してくれるものが多いので、正直そこまで心配しなくて大丈夫です。

税務調査で見られるポイント

「税務調査」と聞くと身構えてしまいますよね。ただ、フリーランスの税務調査で重点的にチェックされるポイントは決まっています。逆に言えば、そこさえ押さえておけば怖くありません。

1. 売上の計上漏れ

最も厳しくチェックされるのがこれ。銀行口座の入金と申告した売上が一致しているか。個人口座に事業の入金が混ざっている場合は特に注意してください。

2. 家事按分の妥当性

按分比率に合理的な根拠があるか。根拠なく高い比率で計上していると否認されます。面積比や時間比の記録は必ず残しておきましょう。

3. 交際費の内容

「誰と」「何の目的で」食事をしたのか。領収書の裏に相手先と目的をメモしておくのが基本。金額が高額だと、より詳しく説明を求められます。

4. プライベートとの混同

携帯電話、車、インターネットなど、プライベートでも使うものを全額経費にしていないか。按分せずに全額計上していると、ほぼ確実に否認されます。

5. 架空経費・水増し

当然ですが、実際には支払っていない経費の計上(架空経費)や、金額の水増しは脱税です。発覚すると重加算税(35〜40%)が課されます。

よくある間違い

誤解
正解
領収書がないと経費にできない
出金伝票・振込明細でもOK
10万円以上は全部減価償却
青色なら30万円未満は一括経費
開業前の支出は経費にできない
「開業費」として計上可能

「領収書がなければ経費にできない」

領収書がなくても、出金伝票や銀行の振込明細など、支出の事実を証明できる書類があれば経費にできます。電車代やバス代は領収書が出ないケースが多いですが、交通費精算書やICカードの履歴で問題ありません。

「10万円以上のものは全部減価償却」

青色申告で少額減価償却資産の特例を使えば、30万円未満の資産はその年に全額経費にできます(年間300万円まで)。10万円のPCをわざわざ4年かけて償却する必要はありません。

「開業前の支出は経費にできない」

開業前に支払った費用でも、事業の準備に必要だったものは「開業費」として計上できます。セミナー参加費、名刺の作成費、打ち合わせの交通費など。開業届の日付よりも前の支出がOKなのは意外と知られていません。

経費の管理や帳簿づけ、正直めんどうですよね。会計ソフトを使うのが一番確実です。レシートをスマホで撮影するだけで自動仕訳してくれるので、年末にまとめて整理する地獄から解放されます。

この記事のまとめ

  • 経費の判断基準は「事業に直接必要な支出」かどうか
  • 自宅兼事務所は家事按分が必要。面積比・時間比など客観的な基準で
  • レシート・領収書は7年間保存。レシートでも領収書でもどちらでもOK
  • 電子取引データは電子のまま保存が義務(2024年〜)
  • 税務調査では売上の漏れ家事按分の妥当性が最重要チェックポイント
  • 開業前の支出も「開業費」として計上可能

これで第5章「確定申告」は完了。次の第6章では社会保険に進みます。健康保険、年金、雇用保険の仕組みから、会社員とフリーランスの違いまで扱います。


※ 本記事は2025年分の税制に基づく概要説明です。経費の判断は個人の事業内容により異なります。正確な判断は税理士にご相談ください。

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