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【税金入門 vol.23】会社員の社保 — 標準報酬月額・労使折半・扶養

# 税金入門# 社会保険

会社員の社保は「半分会社が払ってくれる」

【税金入門 vol.22】社会保険の全体像 — 5つの制度と対象者で社会保険の全体像を解説しました。ここからは会社員の社会保険に絞って深掘りします。

会社員の社会保険で一番大きな特徴は労使折半。保険料の半分を会社が負担してくれます。給与明細に載っている社会保険料は本人負担分だけで、同額を会社も別途支払っています。つまり実際のコストは給与明細の2倍です。

健康保険 — 協会けんぽと組合健保

会社員の健康保険は2種類あります。

協会けんぽ(全国健康保険協会)

中小企業の会社員が主に加入する健康保険です。全国に支部があり、保険料率は都道府県ごとに異なります

2025年度の保険料率は全国平均で約10%(労使合計)。東京都は9.91%。本人負担は約5%です。

組合健保(健康保険組合)

大企業やグループ企業が独自に設立する健康保険組合です。協会けんぽより保険料率が低いことが多く、付加給付(法定以上の給付)があるのが特徴です。

たとえば高額療養費の自己負担上限が法定より低く設定されていたり、健康診断の補助が手厚かったりします。大企業に勤めるメリットの1つです。

自分がどっちに入っているか、意外と把握していない人も多いのでは?

どっちに入っているか確認する方法

健康保険証(マイナ保険証に移行済みの場合はマイナポータル)で確認できます。「全国健康保険協会」と書かれていれば協会けんぽ、会社名やグループ名の健康保険組合名が書かれていれば組合健保です。

厚生年金 — 会社員だけの2階部分

会社員は国民年金(1階)に加えて厚生年金(2階)にも加入します。保険料率は18.3%(労使合計、固定)。本人負担は9.15%です。給与が高いほど保険料も高くなる一方、将来の年金受給額も増える仕組み。フリーランスの国民年金は定額(月17,510円)なので、ここが会社員との大きな違いですね。

標準報酬月額 — 保険料計算のベース

社会保険料は「標準報酬月額」をベースに計算されます。給与そのものではなく、一定の等級に当てはめた金額です。

標準報酬月額の決まり方

毎年4月〜6月の給与の平均額をもとに、その年の9月〜翌8月の標準報酬月額が決まります(定時決定)。

4月の給与
35万円
5月の給与
38万円
6月の給与
37万円
3か月の平均
36.7万円
標準報酬月額
36万円
(等級22)→ 9月〜翌8月の保険料に適用

なぜ4〜6月が重要なのか

4〜6月に残業が多かった年、翌月から手取りが減った経験はありませんか? 4〜6月に残業が多いと平均給与が上がり、標準報酬月額も上がります。結果として9月以降の社会保険料が高くなることがあります。「4〜6月は残業しすぎないほうがいい」と言われるのはこの仕組みのためです。

ただし、標準報酬月額が上がれば将来の年金も増えます。短期で損、長期で得。ここはトレードオフです。

等級の上限と下限

健康保険厚生年金
下限58,000円(第1等級)88,000円(第1等級)
上限1,390,000円(第50等級)650,000円(第32等級)

厚生年金の上限は月65万円。年収で約780万円を超えると、それ以上稼いでも厚生年金の保険料は増えません(将来の受給額も増えません)。

労使折半の仕組み

会社員の社会保険料は会社と本人で折半します。

保険料率(合計)本人負担会社負担
健康保険(協会けんぽ・東京都)9.91%4.955%4.955%
厚生年金18.3%9.15%9.15%
雇用保険1.45%0.55%0.90%
労災保険業種による0%全額

労災保険は全額会社負担なので、給与明細には出てきません。雇用保険は折半ではなく、会社のほうがやや多く負担しています。

具体的にいくら払っているか

月給36万円(標準報酬月額36万円)の場合:

月給36万円(標準報酬月額36万円)の場合
給与明細に見える額
健康保険約17,800円
厚生年金約32,900円
雇用保険約1,980円
本人負担/月
約52,700円
実際のコスト(労使合計)
会社も同額以上を負担
労使合計/月
約105,400円
年間 約126万円
給与明細の 2倍以上 が実際の社会保険コスト

扶養制度 — 会社員の大きなメリット

会社員の健康保険には扶養制度があります。これはフリーランスの国保にはない、会社員だけの特典です。

扶養に入れる条件

配偶者や子どもが以下の条件を満たせば、被扶養者として健康保険に加入できます。追加の保険料はゼロです。

  • 年収130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)
  • 被保険者(本人)の年収の2分の1未満
  • 主として被保険者に生計を維持されていること

扶養に入ると何が得か

  • 配偶者・子どもの健康保険料がゼロ
  • 配偶者が第3号被保険者になり、国民年金保険料もゼロ
  • それでいて将来の基礎年金は受け取れる

仮に配偶者がパートで年収100万円の場合、フリーランスなら国保+国民年金で年間30万円以上かかるところが、会社員の扶養ならゼロ。この差は大きいですよね。扶養の有無で手取りがどう変わるか、シミュレーターで比較してみてください。なお、フリーランスでもマイクロ法人を設立して社保に加入すれば、扶養制度を使えるようになります。

配偶者がパート(年収100万円)の場合
フリーランス(国保)
扶養制度なし → 全員に保険料
配偶者の年間保険料
30万円以上
会社員(扶養)
扶養なら追加保険料ゼロ
配偶者の年間保険料
0円
扶養制度だけで 年間30万円以上 の差

「130万円の壁」

パートで働く配偶者が年収130万円を超えると扶養から外れ、自分で社会保険に加入する必要があります。保険料の負担が一気に増えるので、130万円のラインを意識して働いている人は多いです。

2024年10月からは、従業員51人以上の企業でパート・アルバイトの社会保険適用が拡大されています。月額8.8万円以上(年収約106万円)の場合、扶養に入れず自分で社会保険に加入する必要があります。

自分の社会保険料がいくらか、シミュレーターで確認してみてください。

自分の税負担、いくらか知っていますか?
所得の種類でこれだけ税額が変わるなら、自分の数字で確かめておいて損はありません。

よくある間違い

「社会保険料は全額自分が払っている」

給与明細に載っているのは半分だけ。会社も同額以上を別途支払っているので、実際のコストは明細の2倍以上。ここ、地味に盲点です。

「4〜6月に残業すると1年間損する」

標準報酬月額が上がれば保険料は増えますが、将来の厚生年金受給額も増えます。短期的にはマイナスに見えても、長期的にはプラスになる面もあります。一概に「損」とは言えません。

「転職すると保険が切れる」

退職日の翌日から新しい会社の健康保険に切り替わります。転職先が決まっている場合、空白期間がなければ保険が途切れることはありません。退職後に期間が空く場合は、国保に切り替えるか、前の会社の健康保険を任意継続(最長2年)する選択肢があります。

この記事のまとめ

  • 会社員の社会保険は労使折半。給与明細の2倍のコストが実際にはかかっている
  • 健康保険は協会けんぽ(中小企業)か組合健保(大企業)
  • 保険料は標準報酬月額をベースに計算。4〜6月の給与で決まる
  • 厚生年金の料率は18.3%(本人9.15%)。上限は月65万円
  • 扶養制度で配偶者・子どもの保険料がゼロになる。フリーランスにはない特典
  • 130万円の壁」を超えると扶養から外れ、保険料負担が発生

次の記事では、フリーランスの社会保険を解説します。国保の計算方法、上限109万円、扶養がない問題について。


※ 本記事は2025年分の制度に基づく概要説明です。社会保険料率は年度・都道府県により異なります。正確な金額は各保険者にご確認ください。

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