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【税金入門 vol.22】社会保険の全体像 — 5つの制度と対象者

# 税金入門# 社会保険

社会保険は「5つの保険」の総称

給与明細を見ると「社会保険料」としてまとめて引かれていますが、実はこれ、5つの保険の合計です。

  1. 健康保険 — 病気やケガの医療費をカバー
  2. 年金保険 — 老後・障害・遺族の生活を保障
  3. 雇用保険 — 失業時の給付・育児休業給付等
  4. 労災保険 — 仕事中のケガ・病気の補償
  5. 介護保険 — 40歳以上が加入。介護サービスの費用をカバー

税金と混同されがちですが、社会保険は税金ではありません。「万が一のときに助けてもらうための保険料」です。ただし、給与から強制的に天引きされるので、実質的には税金と同じ感覚ですよね。

5つの保険を順番に見ていく

1. 健康保険

病院に行ったときに窓口で払う金額が3割で済むのは、健康保険のおかげです。残りの7割は健康保険が負担しています。

カバー範囲:

  • 病気・ケガの治療費(自己負担3割)
  • 高額療養費制度(月の自己負担に上限あり)
  • 傷病手当金(病気で働けないとき、給与の約2/3を最長1年6か月支給)
  • 出産育児一時金(1児につき50万円)
  • 出産手当金(産休中の給与補填)

会社員は「協会けんぽ」か「組合健保」、フリーランスは「国民健康保険(国保)」に加入します。保険料の計算方法も保障内容も大きく違いますが、これは次の記事で詳しく解説します。

2. 年金保険

「将来もらえる年金」のために今払っている保険料です。ただし年金は老後だけのものではありません。

カバー範囲:

  • 老齢年金(65歳から受給)
  • 障害年金(病気やケガで障害が残ったとき)
  • 遺族年金(加入者が亡くなったとき、遺族に支給)

会社員は「国民年金 + 厚生年金」の2階建て。フリーランスは「国民年金」のみの1階建てです。この差が将来の受給額に大きく影響します。

会社員(2階建て)
厚生年金
報酬に比例して受給額UP
国民年金(基礎年金)
月約6.8万円
フリーランス(1階建て)
2階部分なし
国民年金(基礎年金)のみ
月約6.8万円

3. 雇用保険

会社を辞めたときの「失業手当」が代表的ですが、それだけではありません。

代表的なのは失業手当(基本手当)ですが、育児休業給付金(育休開始〜180日は給与の67%、以降は50%を支給)、介護休業給付金、教育訓練給付(資格取得費用の一部補助)もここに含まれます。

フリーランスは雇用保険に加入できません。失業手当も育児休業給付金もない。これは会社員との大きな違いです。

4. 労災保険

仕事中や通勤中のケガ・病気を補償する保険です。

カバー範囲:

  • 業務上の災害(仕事中のケガ・病気)
  • 通勤災害(通勤途中の事故)
  • 治療費は全額補償(自己負担ゼロ)
  • 休業補償(給与の約80%)

保険料は全額会社負担。従業員の給与から天引きされることはありません。フリーランスは原則対象外ですが、特別加入制度を使えば一部の職種で加入できます。

5. 介護保険

40歳以上が加入する保険です。65歳以上(第1号被保険者)または40〜64歳(第2号被保険者)が対象です。

カバー範囲:

  • 介護サービスの利用料(自己負担は原則1割)
  • 訪問介護、デイサービス、施設入所等

40歳になると健康保険料に上乗せされる形で介護保険料が徴収されます。若い人にはまだ実感がないかもしれませんが、給与明細に突然「介護保険料」が増えるのは40歳からです。

会社員とフリーランスの社会保険の違い

ここが一番知っておくべきポイントです。

会社員
健康保険協会けんぽ / 組合健保
年金国民年金 + 厚生年金
雇用保険あり
労災保険あり(会社負担)
保険料負担労使折半
扶養制度あり(保険料ゼロ)
フリーランス
健康保険国民健康保険
年金国民年金のみ
雇用保険なし
労災保険原則なし
保険料負担全額自己負担
扶養制度なし
フリーランスは保障が薄く、全額自己負担

フリーランスは「保障が薄いのに、保険料は全額自分持ち」という厳しい構造です。特に扶養制度がないのは大きい。会社員なら配偶者や子どもの健康保険料・年金保険料がゼロになりますが、フリーランスの国保にはその仕組みがありません。

社会保険料は「第二の税金」

社会保険料の金額、把握していますか? 実は所得税より高いケースが多いです。

年収600万円の会社員(独身・扶養なし・40歳未満)
社会保険料
健康保険約30万
厚生年金約55万
雇用保険約3.3万
約88万円
所得税
約19万円
住民税
約31万円
社会保険料88万 > 所得税+住民税50万 — 手取りに最も影響するのは社会保険料

給与明細で一番大きい控除項目が社会保険料だというのは、【税金入門 vol.1】給料から何が引かれてる?額面と手取りの差額をぜんぶ分解するでも触れました。手取りに最も影響するのは税金ではなく社会保険料です。

「自分は年間いくら払っているのか」、正確な数字を見ると結構インパクトがあります。ZeiSimのシミュレーターで、自分の社会保険料と税金の内訳を確認してみてください。

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所得の種類でこれだけ税額が変わるなら、自分の数字で確かめておいて損はありません。

よくある間違い

「社会保険料は税金の一種」

税金ではなく保険料です。税金は一般的な行政サービスに使われますが、社会保険料は加入者の保障に直接使われます。ただし、確定申告では「社会保険料控除」として全額が所得控除になるので、税金を減らす効果はあります。

「フリーランスでも失業手当がもらえる」

もらえません。雇用保険はあくまで「雇用されている人」のための保険です。フリーランスが廃業しても失業手当はゼロ。小規模企業共済のような自前の退職金制度で備えるしかありません。

「扶養に入れば保険料はかからない」

会社員の健康保険にはその仕組みがありますが、フリーランスの国保にはありません。家族が増えれば増えるほど国保の保険料が上がります。ここはフリーランスにとって地味に痛いところです。

この記事のまとめ

  • 社会保険は5つの保険(健康保険・年金・雇用保険・労災・介護保険)の総称
  • 会社員は労使折半で半額会社負担。フリーランスは全額自己負担
  • 雇用保険・労災保険はフリーランスには原則なし
  • 会社員の健康保険には扶養制度がある。フリーランスの国保にはない
  • 社会保険料は所得税+住民税より高い。手取りに最も影響するのは社会保険料
  • 確定申告では全額が所得控除になる

次の記事では、会社員の社会保険を詳しく解説します。協会けんぽ、厚生年金、標準報酬月額、扶養制度まで。


※ 本記事は2025年分の制度に基づく概要説明です。社会保険の適用条件や保険料は個人の状況により異なります。正確な判断は社会保険労務士にご相談ください。

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