【税金入門 vol.3】会社員とフリーランス、税金の払い方はこんなに違う
同じ年収600万円なのに、手取りが違う
【税金入門 vol.2】日本の税金は何種類ある?国税・地方税・直接税・間接税をざっくり整理で、日本の税金の種類を整理しました。所得税、住民税、消費税、社会保険料……。では、これらの負担は会社員とフリーランスで同じなのか?
結論から言うと、同じ年収でも手取りは違います。しかもその差は年間数十万円になることもあります。
なぜか。「税金の計算方法」と「社会保険の構造」が根本的に違うからです。
違い1: 税金の払い方
会社員 — 全部天引き
会社員の税金は、会社が代わりに処理してくれます。
- 所得税: 毎月の給料から源泉徴収。年末調整で過不足を精算
- 住民税: 毎月の給料から特別徴収(天引き)
自分で計算する必要がありません。確定申告も基本的には不要です。「何もしなくても税金が払われている」状態です。楽と言えば楽ですが、裏を返すと自分がいくら税金を払っているか意識しにくい。【税金入門 vol.1】給料から何が引かれてる?額面と手取りの差額をぜんぶ分解するで見た「額面と手取りの差額6万円」に驚いた人は、まさにこの構造が原因です。
フリーランス — 全部自分で
フリーランスは天引きしてくれる会社がありません。全部自分でやります。
- 所得税: 確定申告(毎年2/16〜3/15)で計算して納付
- 住民税: 確定申告の結果をもとに市区町村から通知が届く。年4回に分けて自分で納付
- 個人事業税: 8月と11月の年2回、自分で納付
- 消費税: 課税事業者なら確定申告とは別に申告・納付
「忘れてた」が通用しない世界。納付期限を過ぎると延滞税がかかります。
違い2: 所得の計算方法
同じ年収600万円でも、「課税される所得」の出し方が違います。ここの仕組みを知っているかどうかで、節税の打ち手がまったく変わってきます。
会社員: 給与所得控除
会社員には給与所得控除という「みなし経費」が自動的に適用されます。年収600万の場合、控除額は164万円。領収書を集める必要なし。
年収600万 − 給与所得控除164万 = 給与所得436万
フリーランス: 実額の経費 + 青色申告控除
フリーランスは実際にかかった経費を積み上げます。加えて、青色申告をしていれば最大65万円の特別控除。
年収600万 − 経費120万(経費率20%の場合)− 青色控除65万 = 事業所得415万
経費率が高い業種なら課税所得はもっと下がります。逆に経費が少ない業種(ITフリーランスなど)は、会社員の給与所得控除のほうが有利になるケースも。ここは業種と働き方で大きく変わります。
所得の計算方法は【税金入門 vol.4】「収入」と「所得」は別モノ — 税金の基本で詳しく扱います。
違い3: 社会保険の構造(最大の差)
ここが一番大きい。手取りの差のほとんどはここから来ます。
会社員: 労使折半
会社員の社会保険(健康保険+厚生年金)は、会社が半分負担してくれます。
| 項目 | 本人負担 | 会社負担 |
|---|---|---|
| 健康保険(東京都) | 約5% | 約5% |
| 厚生年金 | 9.15% | 9.15% |
| 雇用保険 | 0.55% | 0.95% |
給与明細に載っている金額は自己負担分だけ。実際のコストはその倍。会社員が気づきにくい「隠れた報酬」です。
さらに、会社員の健康保険には扶養制度があります。配偶者や子どもを扶養に入れれば、追加の保険料なしで家族も保険が使える。これ、地味にでかいメリットです。
フリーランス: 全額自己負担
フリーランスが加入するのは国民健康保険+国民年金。折半してくれる会社はありません。
| 項目 | 負担 |
|---|---|
| 国民健康保険 | 所得に応じて増加。上限109万円/年(2025年度) |
| 国民年金 | 定額17,510円/月(年210,120円) |
国保には扶養の概念がないので、家族が増えれば均等割の分だけ保険料も増えます。そして所得が上がるほど保険料も上がる。年収が高いフリーランスほど「国保が重い」と感じるのはこの構造のせい。
この社保の負担差が、同じ年収でも手取りが変わる最大の理由です。自分の場合いくら差が出るかはZeiSimのシミュレーターで確認できます。
違い4: 経費の自由度
会社員: 経費という概念がない
会社員は自分で経費を計上できません(特定支出控除という制度はあるけど、ハードルが高すぎて使う人はほぼいない)。給与所得控除で一律に処理されます。
フリーランス: 事業に関係するものは経費にできる
フリーランスは事業に必要な支出を経費にできます。
- PC、ソフトウェア、書籍
- 自宅の家賃の一部(家事按分)
- 通信費、交通費
- 取引先との飲食費
経費が多ければ課税所得が下がり、税金が減る。ここはフリーランスの明確なアドバンテージ。ただし「なんでも経費にできる」わけではないので、詳しくは別の記事で扱います。
まとめ: 4つの違い
| 項目 | 会社員 | フリーランス |
|---|---|---|
| 税金の払い方 | 天引き(源泉徴収) | 自分で確定申告 |
| 所得の計算 | 給与所得控除(自動) | 実額経費 + 青色控除 |
| 社会保険 | 会社と折半 + 扶養あり | 全額自己負担 + 扶養なし |
| 経費 | 計上できない | 事業関連なら計上可能 |
会社員は「楽だけど自由度が低い」、フリーランスは「自由だけど全部自分でやる」。どちらが得かは年収・業種・家族構成で変わります。
次は所得税の計算ロジック — 累進課税と控除の仕組みに入ります。
※ 本記事の金額は2025年度の税制・保険料率に基づく概算です。年収600万円・独身・扶養なし・東京都在住を前提としています。実際の金額は個人の状況により異なります。正確な計算は税理士にご相談ください。
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