【税金入門 vol.1】給料から何が引かれてる?額面と手取りの差額をぜんぶ分解する
額面30万円、手取り24万円。差額の6万円はどこへ?
給与明細を見て「思ったより少ないな」と感じたことはありませんか?
額面(総支給額)が30万円でも、銀行口座に振り込まれるのは約24万円。差額の約6万円は、税金と社会保険料として天引きされています。この「天引き」の中身を正確に把握している人は意外と少ないんですよね。
大きく分けると、引かれるものは2種類。
- 税金(所得税・住民税)— 国や自治体に納めるお金
- 社会保険料(厚生年金・健康保険・雇用保険)— 医療・年金・失業時の備え
金額で見ると、社会保険料のほうが税金よりずっと大きい。ここ、見落としがちなポイントです。
社会保険料:手取りを一番削っているもの
額面30万円の場合、社会保険料だけで月に約44,000円。正直、地味にでかい金額です。
厚生年金:月27,450円
将来の年金の原資です。保険料率は18.3%で固定されていますが、会社が半分負担してくれるので自己負担は9.15%。額面30万円なら月27,450円になります。給与明細で一番大きい控除項目がこれ。
ちなみに、この金額は「標準報酬月額」というランク制で決まります。額面が1万円増えても保険料が変わらないこともあれば、ランクの切り替わりでガクッと上がることもある。ざっくり「額面の約9%」と覚えておけば大きくはずれません。
健康保険:月15,000円
病院で3割負担で済むのは、この保険のおかげ。保険料率は都道府県ごとに違いますが、東京都の協会けんぽなら2025年度は9.91%です。会社と折半なので自己負担は約5%、額面30万円なら月15,000円ほど。
40歳以上だと、ここに介護保険料(約0.8%)が上乗せされます。じわっと効いてくるやつです。
雇用保険:月1,650円
失業したときの給付金をもらうための保険です。2025年度の自己負担率は0.55%で、額面30万円なら月1,650円。金額は小さいですが、ちゃんと引かれている。
税金:所得税と住民税
所得税:月約6,000円
所得税は累進課税 — 稼ぎが多いほど税率が上がる仕組みで、5%〜45%の7段階あります。額面30万円(年収360万円)の場合、実効税率はだいたい2〜3%程度。月額だと約5,500〜6,000円です。
毎月の天引き額は概算で、12月の年末調整で精算されます。年末に数千円〜数万円戻ってくる(または追加で引かれる)のはこのため。所得税の計算の詳細は【税金入門 vol.4】「収入」と「所得」は別モノ — 税金の基本で扱います。
住民税:月約12,500円
住民税は所得税と違って税率が一律10%。計算がシンプルなぶん、金額は所得税より大きくなるケースが多いです。
注意点が1つ。住民税は前年の所得に基づいて計算されます。今年の給料が下がっても、去年の稼ぎが多ければ住民税は高いまま。新卒1年目は住民税ゼロだけど、2年目の6月からいきなり引かれ始めて驚く — という話はよく聞きますよね。住民税の仕組みは別の記事で詳しく扱います。
会社員 vs フリーランス:引かれ方が全然違う
ここまで見てきたのは会社員の場合。フリーランス(個人事業主)だと、仕組みがだいぶ変わります。
| 項目 | 会社員 | フリーランス |
|---|---|---|
| 所得税 | 毎月天引き(源泉徴収) | 確定申告で自分で納付 |
| 住民税 | 毎月天引き(特別徴収) | 年4回、自分で納付 |
| 健康保険 | 協会けんぽ等(会社と折半) | 国民健康保険(全額自己負担) |
| 年金 | 厚生年金(会社と折半) | 国民年金(定額17,510円/月) |
| 雇用保険 | あり | なし |
一番大きな違いは社会保険の構造です。
会社員の健康保険と厚生年金は、会社が保険料の半分を負担してくれます。給与明細に載っている金額は自己負担分だけ。実際のコストはその2倍かかっていて、半分は会社が肩代わりしている形。
ではフリーランスはどうか。国民健康保険には「折半」がありません。全額自己負担です。しかも所得が上がるほど保険料も上がり、2025年度の上限は年間109万円。会社員とフリーランスで同じ年収でも手取りが変わる最大の理由がここにあります。自分の年収でどのくらい差が出るか気になる方は、ZeiSimのシミュレーターで比較できます。
会社員とフリーランスの違いは【税金入門 vol.3】会社員とフリーランス、税金の払い方はこんなに違うで詳しく比較します。
この記事のまとめ
額面から手取りまでに引かれるものは、大きく社会保険料と税金の2つ。額面30万円なら合計で約62,000円、手取りは約238,000円。
内訳をざっくりまとめると:
- 社会保険料(約44,000円):厚生年金 > 健康保険 > 雇用保険
- 税金(約18,500円):住民税 > 所得税
「思ったより社会保険料が大きい」と感じた方、正しい感覚です。手取りを左右する最大の要因は税率ではなく社会保険料。ここが分かっていると、このあとの章で税金や社保の仕組みがすんなり理解できます。
※ 本記事の金額は2025年度の税制・保険料率に基づく概算です。実際の金額は個人の状況(扶養家族、住所、加入する健保組合等)により異なります。正確な計算は税理士・社労士にご相談ください。
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