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【税金入門 vol.20】青色申告と白色申告 — 65万控除の条件と届出

# 税金入門# 確定申告

フリーランスなら青色申告一択

フリーランスの確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。結論から言うと、青色申告を選ばない理由がほぼありません

【税金入門 vol.8】事業所得の計算 — 売上−経費−青色控除。帳簿と証拠書類の基本でも触れましたが、青色申告には最大65万円の特別控除があります。白色申告にはこの控除がありません。同じ売上・同じ経費でも、青色と白色で手取りが変わります。

ただし青色申告には条件があります。この記事では、青色と白色の違い、65万円控除の条件、申請の手続きまで解説します。

青色申告と白色申告の違い

青色(65万円控除)おすすめ
青色(10万円控除)白色申告
特別控除65万円10万円なし
帳簿複式簿記簡易簿記簡易な記帳
決算書貸借対照表 + 損益計算書損益計算書収支内訳書
事前届出必要必要不要
赤字の繰越3年間3年間不可
家族への給与経費にできる経費にできる専従者控除のみ

一番大きな違いは特別控除の額です。65万円の控除があるかないかで、税金がどれだけ変わるか計算してみましょう。

65万円控除の節税効果

課税所得が400万円のフリーランスの場合、65万円控除があるかないかでこれだけ変わります。

白色申告
特別控除額
0円
帳簿義務あり(2014年〜)
青色申告おすすめ
特別控除額
65万円
複式簿記 + e-Tax
年間 約19.5万円 の節税効果
※ 所得税率20% + 住民税10%の場合

年間19.5万円。10年で195万円。これを「帳簿が面倒だから」という理由で捨てるのは、さすがにもったいないですよね。自分の課税所得だと青色申告でどれくらい節税になるか、シミュレーターで確認してみてください。

65万円控除を受けるための3つの条件

青色申告をしても、自動的に65万円控除が受けられるわけではありません。以下の3つを全て満たす必要があります。

1
複式簿記 + 貸借対照表
会計ソフトで自動化OK
2
e-Tax or 電子帳簿保存
マイナカード + スマホ
3
期限内に提出(3/15)
遅れると10万円に格下げ
3つ全て満たすと
65万円控除
1つでも欠けると
10万円 or 控除なし

条件1: 複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を作成する

65万円控除の最大のハードル。複式簿記とは、すべての取引を「借方」と「貸方」の両面から記録する方法です。記帳した結果として貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)を作成し、確定申告書に添付します。

「複式簿記」と聞くと難しそうに感じますが、会計ソフトを使えば自動で複式簿記の帳簿ができます。銀行口座やクレジットカードを連携すれば、取引の大半は自動仕訳。簿記の知識がなくても問題ありません。

条件2: e-Taxで申告する、または電子帳簿保存をする

65万円控除を受けるには、以下のどちらかが必要です。

  • e-Taxで確定申告書を提出する
  • 電子帳簿保存法に対応した帳簿をつける

どちらも満たさない場合、控除額は55万円に下がります。【税金入門 vol.19】確定申告のやり方 — e-Taxと必要書類で解説したとおり、e-Taxはマイナンバーカードとスマホがあれば使えるので、こちらが手軽です。

条件3: 期限内に確定申告書を提出する

3月15日の期限を過ぎると、65万円控除は受けられなくなります(10万円控除に格下げ)。期限厳守です。

10万円控除と65万円控除の違い

青色申告には「65万円控除」と「10万円控除」の2段階があります。

65万円控除10万円控除
帳簿複式簿記簡易簿記
提出方法e-Tax or 電子帳簿保存紙でもOK
期限厳守(遅れると10万円に)期限内

簡易簿記(10万円控除)は、現金出納帳や売掛帳などを手書きでもOKです。ただし、10万円と65万円の差は年間で約15万円(税率20%+住民税10%の場合)。会計ソフトを使えば複式簿記のハードルは一気に下がるので、最初から65万円控除を狙うのがおすすめです。

白色申告のメリットはあるのか

正直に言うと、ほぼありません。

2014年以降、白色申告にも記帳義務が課されています。「白色なら帳簿をつけなくていい」というのは過去の話。帳簿をつける手間はどちらも同じなのに、白色には特別控除がない。つまり手間は同じなのにメリットだけがない状態です。

白色申告を選ぶ合理的な理由があるとすれば:

  • 開業直後で青色申告承認申請の期限を過ぎてしまった
  • 副業で事業所得が小さく、帳簿の精度にこだわる余裕がない

くらいでしょうか。それでも、翌年からは青色に切り替えておきたいところです。なお、事業が軌道に乗ってきたら個人事業主のままか法人化するかも検討してみてください。

青色申告のその他のメリット

65万円控除だけではありません。青色申告には、もう3つ見逃せない特典があります。

赤字の繰越(3年間)

事業で赤字が出た場合、その損失を翌年以降3年間にわたって繰り越せます。翌年に黒字が出たら、前年の赤字と相殺して税金を減らせます。

たとえば1年目に100万円の赤字、2年目に300万円の黒字なら:

1年目
事業の赤字
−100万円
→ 翌年以降に繰り越し
2年目
黒字 300万 − 繰越 100万
200万円
→ 課税所得が100万円減る
青色申告なら赤字を 3年間 繰り越せる (白色は不可)

白色申告にはこの制度がありません。開業初年度に設備投資等で赤字になるフリーランスにとって、これは大きなメリットです。

青色事業専従者給与

家族(配偶者や親族)に仕事を手伝ってもらっている場合、その給与を経費にできます。白色申告だと「事業専従者控除」(配偶者86万円、その他50万円)が上限。青色なら実際に支払った給与の全額が経費になります。

ただし、事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出する必要があります。

少額減価償却資産の特例

30万円未満の資産(パソコン、デスクなど)を購入した場合、その年に全額経費にできます(年間合計300万円まで)。通常は10万円以上の資産は減価償却が必要ですが、青色申告ならこの特例が使えます。

青色申告を始めるための手続き

1
開業届を提出
開業から1か月以内
2
青色申告承認申請書を提出
3/15 or 開業から2か月以内
3
会計ソフトを導入
複式簿記を自動化

1. 開業届を提出する

まだ出していなければ、税務署に「個人事業の開業届出書」を提出します。A4用紙1枚です。

  • 開業日から1か月以内に提出(遅れても罰則はない)
  • 届出先は納税地の所轄税務署

2. 青色申告承認申請書を提出する

「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出します。これが青色申告の「申し込み」にあたるものです。

提出期限:

  • 原則: 青色申告をしたい年の3月15日まで
  • 新規開業の場合: 開業日から2か月以内(その年の1月15日までに開業した場合は3月15日まで)

期限を過ぎると、その年は白色申告になります。翌年分から青色にしたい場合は翌年3月15日までに申請してください。

3. 会計ソフトを導入する

複式簿記を手書きでやるのは現実的ではありません。freeeやマネーフォワードなどの会計ソフトを使えば、銀行口座と連携して自動仕訳、確定申告書の作成からe-Tax提出まで一気通貫でできます。

開業届と青色申告承認申請書も、会計ソフトから作成・提出できるサービスがあります。

よくある間違い

「白色申告なら帳簿はいらない」

2014年以降、白色申告でも記帳義務があります。帳簿をつける手間は青色と大差ないのに、控除がゼロ。白色を選ぶ理由がありません。

「青色申告は簿記の資格がないとできない」

会計ソフトを使えば簿記の知識は不要です。銀行口座やクレカを連携すれば自動仕訳してくれるので、借方・貸方を自分で判断する場面はほぼありません。

「開業届を出さなくても青色申告できる」

青色申告承認申請書を提出するには、開業届が出ていることが前提です。開業届と青色申告承認申請書はセットで出すのが基本。どちらもA4用紙1枚なので、まとめて出してしまいましょう。

この記事のまとめ

  • 青色申告には最大65万円の特別控除がある。白色申告にはない
  • 65万円控除には複式簿記e-Tax提出期限内申告が必要
  • 白色申告にも記帳義務があるので、手間は青色と大差ない
  • 青色なら赤字の3年繰越家族への給与の経費化30万円未満の即時経費化も可能
  • 開業届と青色申告承認申請書はセットで提出。期限を過ぎるとその年は白色になる
  • 会計ソフトを使えば複式簿記のハードルは一気に下がる

次の記事では、フリーランスの経費の基本を解説します。何が経費になるか、家事按分、レシート保存のルールまで。


※ 本記事は2025年分の税制に基づく概要説明です。青色申告の適用条件は個人の状況により異なります。正確な判断は税理士にご相談ください。

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