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【税金入門 vol.5】10種類の所得 — 給与、事業、雑…計算方法と課税方式がぜんぶ違う

# 税金入門# 所得税

なぜ所得を10種類に分けるのか

【税金入門 vol.4】「収入」と「所得」は別モノ — 税金の基本で、「税金は収入ではなく所得にかかる」という話をしました。

では、所得は所得でも — 給料でもらった所得と、株を売って得た所得は、同じように課税されるのか?

答えはNO。日本の所得税法は所得を10種類に分類して、計算方法も税率もバラバラ。「稼ぎ方が違えば、課税のルールも違う」という設計です。

10種類と聞くとうんざりしますが、会社員やフリーランスが実際に関わるのは3〜4種類。全部暗記する必要はありません。「自分に関係あるのはどれか」を把握するのがこの記事のゴールです。

総合課税(合算 → 累進税率 5〜45%)
給与所得
会社員
給料・賞与
事業所得
フリーランス
フリーランスの利益
不動産所得
家賃収入
配当所得
株の配当金
一時所得
懸賞金・保険満期金
雑所得
両方
副業・年金・仮想通貨
分離課税(個別に固定税率)
譲渡所得
株・不動産の売却益
退職所得
会社員
退職金
利子所得
預金利息
山林所得
山林の伐採・譲渡
※ 配当所得は総合課税・分離課税を選択可能。上記は主な課税方式で分類

10種類の所得、一覧

#所得の種類ざっくり言うと課税方式
1給与所得会社からもらう給料・賞与総合課税
2事業所得フリーランス・個人事業の利益総合課税
3不動産所得家賃収入の利益総合課税
4利子所得預金の利息分離課税(源泉)
5配当所得株の配当金総合or分離を選択
6譲渡所得資産(株・不動産など)を売った利益分離課税が多い
7一時所得懸賞金、保険の満期金など総合課税(1/2)
8雑所得副業収入、年金、仮想通貨の利益など総合課税
9山林所得山林を伐採・譲渡した利益分離課税
10退職所得退職金分離課税

「総合課税」と「分離課税」の違いは後で説明します。会社員・フリーランスに関係の深いものから順に見ていきます。

会社員が関わる所得

1. 給与所得 — ほとんどの会社員のメイン

会社から受け取る給料、ボーナス、各種手当。会社員の所得のほぼ全てがこれです。

給与収入 − 給与所得控除 = 給与所得

給与所得控除の仕組みは【税金入門 vol.4】「収入」と「所得」は別モノ — 税金の基本で詳しく扱いました。年収に応じた「みなし経費」が自動的に引かれる仕組みです。

ポイントは、給与所得は源泉徴収+年末調整で完結すること。確定申告が不要なのは、会社が代わりに税額を計算して納付してくれているから。会社員が税金を意識しにくい最大の理由がここにあります。

10. 退職所得 — 退職金は優遇されている

退職金は「長年の勤務に対する報酬」という位置づけで、税制上かなり優遇されています。

(退職金 − 退職所得控除) × 1/2 = 退職所得

退職所得控除は勤続年数に応じて増えます。20年以下なら「40万円×勤続年数」(最低80万円)、20年超は「800万円+70万円×(勤続年数−20年)」。勤続20年で800万円、30年で1,500万円。しかも計算の最後に1/2にしてもらえる。退職金2,000万円で勤続30年なら、課税対象はたったの250万円です。

さらに退職所得は分離課税。他の所得と合算されないので、累進課税で税率が跳ね上がることもない。老後資金としての性質が強いぶん、税制で手厚く守られている所得です。

フリーランスが関わる所得

2. 事業所得 — フリーランスのメイン

個人事業として継続的に行っている仕事から得た利益。フリーランスエンジニア、デザイナー、ライター、飲食店経営など。

売上(収入) − 必要経費 − 青色申告特別控除 = 事業所得

給与所得との最大の違いは実額で経費を計上できること。その代わり、自分で帳簿をつけて確定申告する必要があります。

事業所得には大きなメリットがもうひとつ。損益通算ができます。事業で赤字が出た場合、その赤字を給与所得など他の所得と相殺して税金を減らせる。これは雑所得にはない特権です。

8. 雑所得 — 「どれにも当てはまらない」受け皿

10種類のどれにも該当しない所得は、全部ここに入ります。具体的には:

  • 副業収入: 会社員がスキマ時間でやっている仕事の報酬
  • 公的年金: 老齢年金、企業年金
  • 仮想通貨の売却益: ビットコインやイーサリアムの利益

なお、FX(外国為替証拠金取引)も雑所得に分類されますが、こちらは申告分離課税(税率20.315%)で、上記の総合課税の雑所得とは課税方式が異なります。仮想通貨は総合課税、FXは分離課税 — 同じ雑所得でも扱いが違うので注意してください。

副業がここに分類されるか事業所得になるかは、実務上かなり揉めるポイント。正直、税務署の担当者によって判断が割れることすらあります。国税庁は「反復・継続・独立して行っているか」を判断基準にしていますが、明確な線引きはありません。

雑所得の最大のデメリットは損益通算ができないこと。仮想通貨で100万円損しても、その損失を給与所得から引くことはできません。事業所得との大きな違いがここです。

投資をしている人が関わる所得

6. 譲渡所得 — 「売った」ときに発生する

資産を売却して利益が出たときの所得。対象は主に2つ。

株式の譲渡所得: 上場株式を売った利益。税率は所得税15.315%+住民税5%の一律20.315%。どれだけ稼いでも税率は変わりません。これが「株の利益は分離課税で有利」と言われる理由です。

不動産の譲渡所得: 土地や建物を売った利益。所有期間が5年以下(短期)だと約39%、5年超(長期)だと約20%。長く持っていたほうが税率が下がる仕組みです。

5. 配当所得 — 株の配当金

株式の配当金やファンドの分配金。課税方式を自分で選べる珍しい所得です。

  • 確定申告不要制度: 源泉徴収(20.315%)で完結。確定申告しなくてOK
  • 総合課税で申告: 他の所得と合算。課税所得が低い人は実効税率が20%を下回ることも
  • 申告分離課税: 株の譲渡損失と相殺できる

NISAで投資している人は配当も非課税なので関係ありませんが、特定口座で配当をもらっている人は選択の余地がある。年収が低めで配当がそこそこあるなら、総合課税で申告すると税金が返ってくるケースも。逆に高年収なら申告不要のまま放置したほうが得です。

4. 利子所得 — 預金利息

銀行預金の利息。源泉分離課税で20.315%が自動的に引かれて終わり。確定申告は不要で、自分で何かする必要は一切ない。金額も小さいので、これを意識している人はほとんどいないでしょう。

その他の所得

3. 不動産所得 — 大家さんの所得

アパートやマンションの家賃収入から経費を引いた利益。総合課税で、事業所得と同じように損益通算ができます。サラリーマン大家が「不動産で節税」と言っているのは、不動産所得の赤字を給与所得と相殺しているケースが多いです。

7. 一時所得 — 臨時収入

懸賞の賞金、生命保険の満期金、競馬の払戻金など。「一時的で偶発的な収入」が該当します。

特徴は50万円の特別控除1/2課税。一時所得が100万円あっても、課税対象は (100万 − 50万)× 1/2 = 25万円 だけ。かなり優遇されています。

9. 山林所得

山林を伐採して売った利益。ほとんどの人には無縁なので、「そういうものがある」と知っておけば十分です。

総合課税と分離課税の違い

ここまで何度も出てきた「総合課税」と「分離課税」。ここを押さえないと、所得の話は半分しかわかりません。

総合課税: 合算して累進税率

給与所得、事業所得、不動産所得、雑所得などは全部合算されて、合計額に対して所得税の累進税率(5〜45%)がかかります。さらに住民税10%が加わる。

会社員が副業で雑所得100万円を稼いだとして、その100万円は給与所得に上乗せされます。給与所得が高い人ほど、副業の利益にも高い税率が適用される。稼ぐほど税率が上がる — これが累進課税の宿命です。

分離課税: 他の所得と切り離して固定税率

株式の譲渡所得や退職所得は、他の所得とは切り離して、それぞれ独自の税率で課税されます。

株を売った利益がいくら出ても税率は20.315%のまま。給与所得が高い人でも、株の利益まで累進で取られることはない。これが分離課税のメリットです。

「どの所得に該当するか」で税額が変わる

同じ100万円の収入でも、所得の種類によって手取りが大きく違います。

  • 給与所得として100万円 → 給与所得控除で大部分が消える
  • 事業所得として100万円 → 経費と青色控除を引ける。損益通算も可能
  • 雑所得として100万円 → 経費は引けるが損益通算は不可
  • 一時所得として100万円 → 50万控除+1/2で課税対象は25万円
  • **譲渡所得(株式)**として100万円 → 分離課税で約20.3万円の税金

所得の分類は自分で選べるものではなく、稼ぎ方によって自動的に決まる。ただし副業が「事業所得」になるか「雑所得」になるかのようなグレーゾーンも存在します。どちらに該当するかで損益通算の可否が変わるので、実務上は結構大きな問題です。

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所得の種類でこれだけ税額が変わるなら、自分の数字で確かめておいて損はありません。

この記事のまとめ

  • 日本の所得税は所得を10種類に分類。計算方法と課税方式がそれぞれ違う
  • 会社員のメインは給与所得。フリーランスは事業所得
  • 副業収入は雑所得に分類されることが多い。事業所得との違いは損益通算の可否
  • 総合課税は合算して累進税率、分離課税は切り離して固定税率
  • 同じ金額でも所得の種類で税額がまるで違う。まずは自分の所得がどれに該当するか確認するところから

次の記事では、総合課税の核心 — 累進課税の仕組みに踏み込みます。「税率20%の区間に入ったら全額に20%がかかる」という誤解、意外と多いです。


※ 本記事は2025年分の税制に基づく概要説明です。所得の分類や課税方式の詳細は個人の状況により異なります。正確な判断は税理士にご相談ください。

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